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琉球ヴァイオリン(Ryukyuish Violin)について

沖縄に生まれ育ちヴァイオリンを手にした私が、幼い頃から耳にし、口ずさんできた島のメロディをこの楽器で奏でるようになったのはごく自然なことでした。

そして、ある日突然それは舞い降りてきました。左手ピチカート(三線!)の伴奏が加わり、童唄『てぃんさぐぬ花』がヴァイオリン曲に生まれ変わったのは1993年のこと。

続いて他の沖縄民謡をアレンジしようと試みた時に、まっさきに浮かんだのはクラシック調の変奏曲でした。しかし、変奏は沖縄の雰囲気を保とうとすると盛り上がりに欠け、華やかに展開しようとするとその本質から離れていくように感じられ常に迷いがありました。
大正生まれの祖母が存命だった頃、『白浜節』のテーマを聴いてもらった時のことです。「綺麗だけど、白浜節には聞こえないねぇ」とさらりと言われてしまいました。変奏以前に、ヴァイオリンで弾く唄のメロディが、すでに沖縄音楽には聞こえなかったようなのです。クラシック音楽とは違うアプローチが必要なのだと感じましたが、具体的にはどうしたらいいのか当時の私にはわかりませんでした。

やがて沖縄を離れ、いろいろなバンドでポップス、ロック、ブルーグラスなども弾くようになり、それぞれの音楽が持つ奥深さについて考えるようになりました。
この頃から「洋楽器で奏でる沖縄メロディ」の様々なアレンジを耳にするようになりましたが、クラシック、ロック、ジャズなどを取り入れたそれらの複雑で美しく洗練された音を聴くたびに、祖母の言葉が脳裏をよぎりました。

そんななか出合ったケルト(アイリッシュ)音楽に、沖縄のヴァイオリンのヒントを見つけたのです。
ケルトのフィドル音楽は私にいろいろなことを教えてくれました。ヴァイオリンがリズム楽器にもなること、繰り返しが生み出す不思議な魅力、独特な装飾方法。譜面にすれば単純な、しかしそこからは想像もつかない豊かな情感。地上に生きる喜び哀しみをそのまま表現する民族音楽の懐の深さ。何よりも大きな収穫だったのは、凝り過ぎた技巧や変奏を加えなくても美しく楽しい器楽曲は成り立つ、ということを知ったことでした。

ヴァイオリンを沖縄の伝統楽器である三線のように扱い、沖縄の風を吹かせる音楽を創ろう、と目標を定め、「アイリッシュ・フィドル(Irish fiddle)」への賞賛と感謝を込めて、この旧く新しい音楽に「琉球ヴァイオリン(Ryukyuish Violin)」と名付けました。

About Ryukyuish violin (Old-Okinawan Violin Music)

In Okinawa islands, where singing flourished, music was rarely meant for instruments.
The violin, which developed in Italy, is now used all over the world as a folk instrument for Celtic, Indian, and many other kinds of ethnic music.
When I was young and growing up in Okinawa, I met the violin. From my innocent heart I often sang softly to myself, and began looking for a way to express my song on this instrument.  It was then that I started to explore Ryukyuish (Old-Okinawan) violin music.
Today, I peform my music combining the wide range of sound available on the 6 string Viper and loop pedal, aiming at the continual development of Ryukyuish violin.