Vol.1「フレット付ヴァイオリン」

ヴァイパーや琉球ヴァイオリンについて、ライヴのたびにいろいろな質問をいただくので、少しずつでも答えてみようかな、と思って書き始めてみたらどんどんマニア向けな内容になってきた。
まぁ、そのためのページでもあるので、ご興味のある方はお読みください。
(^.^)

今回はヴァイパーのフレットについて。

ヴァイオリンのフレットに関しては、実際に試したことも無いままにいろいろ言う人がとても多いのでなるべくわかりやすく書いたつもりです。
ご意見等あればぜひお聞かせください。

1.「フレットがあると弾きやすい(音程が取りやすい)のか?」

あっさりと言えばNO。

ヴァイパーにはギターのようなフレットがついている(無しも選べる)。
けれどこのフレットはギターのと違い、高さも低く、押さえる位置はその真上で、音程を定める機能はあまり無い。

指をずらせば音程もずれ、普通のヴァイオリンと同じく音程は無段階に変化する。
当然、音痴に弾くこともできる(笑)。

また、演奏位置に構えてみると斜めから見ることになるので、正確にフレット上に指を乗せるのは案外難しい。

速い曲になるともちろん目視ではとうてい間に合わない。
つまりフレットレスのヴァイオリンで音程が取れなければフレット付ヴァイパーでも同じこと。

フレットがあるから簡単かも?
と期待した方は残念でした。

とまあ、夢の飛び道具とはいかないけれど、フレット付ヴァイオリンで音程練習をすれば、フレットレスのヴァイオリンの音程も取りやすくなるという利点があります。
フレットがそれぞれの指の位置を教えてくれるので、手をどの形にすれば4本の指をバランスよく使えるのか、半音程や全音程の指の開き具合はどのくらいなのか、
ポジションが変わることで指の間隔がどのくらい変わるのか、他の弦との音程関係がどうなっているのか、といったことが目に見えてよくわかる。

こういう話をすると来るのが次の質問。

2.「フレットがあればそれに頼って、いつまでも音がわからないままなのではないか?」

結論から言えば、全くそんなことは無い。

道具は使い方ひとつなので、フレットで音程をよく聴いて、次に目を閉じてその音程をとれるかやってみるという使い方もできるので実はかなり効果的に練習できます。

なお、上記の通りこのフレットはあくまでも目安なので、ピッチの微調整能力は各人のこだわりでどこまででも鍛えられますよ。

3.「フレットがあると弾きにくくなる?(ヴァイオリンの感覚と違いすぎる?)」

両方弾いて思うことは、私にはフレット付もフレットレスもほとんど変わらない。

たまに訊かれる、ポルタメント奏法(指を滑らせる)でフレットに指がひっかかるようなことも特にないし、見て音程を取っているわけでも無いので、実のところフレットはほとんど意識していない。

指先がタコでガチガチになっている人は、フレットに指がひっかかると言っていた。
それはフレットが無い方が良いのか?
それとも、もっと柔らかく押さえた方が良いのか?
私は後者に一票。

フレットのせいで惑わされて指がずれる
という人もいた。

ちょっと言いにくいけれど、フレットレスでも音程ずれてますね…でも、きっと気がつかなかったのでしょう。

4.「では、練習のためのフレットなのか?」

フレット付アコースティックヴァイオリンは持っていないので、その利点はよくわかりません。
しかしながら、今のところエレクトリック・ヴァイオリンにはフレットがある方が良いように思う。

エレクトリック・ヴァイオリンは弦の振動をピックアップ(マイク)で電気信号に換えてアンプ付スピーカーで鳴らす。

この変換はまだまだ理想には遠く、よく使われるピエゾピックアップはアコースティックよりも鼻をつまんだような音に成りがち。

そして、困るほどに伸び続ける開放弦の音と、指で押さえたくぐもった伸びの無い音との差がとても大きい。
ここにフレットを加えると押さえた弦の音色がクリアになって、開放弦と押さえた弦の響きが近づき…
あら不思議!
フレットがある方がアコースティックヴァイオリンの感覚に近い!

つまり、
「ヴァイパーのフレットは音程ではなく、音色のため!」

あくまで私個人の意見です♪