Vol.13 「なぜヴァイパーで弾くのか?」

「ヴァイパー凄いね!
何でヴァイオリンじゃなくてヴァイパーなのかと思っていたけど、演奏を聴いたら納得したよ!」

コンサート後にそのようにお声かけいただくことが増えました。

誰もが認める素晴らしい楽器であるヴァイオリンをあえてセカンドに回して、なぜ電気楽器を弾くのか、生演奏を見るまでは不思議に思っていたのだそうです。

もちろん私からすれば
「今はもうヴァイパーの方が良いから」
なのですが、多くの方にこんなアドバイスをいただきます。

「とにかく実演をたくさん聴いてもらいなさい。
これを聴いたことの無い方に
『ヴァイオリンに匹敵するエレクトリックヴァイオリン』
を想像してもらうのは、現在ではまだ早過ぎるから!
この演奏は動画やCDにはとうてい収まらないよ!」
(この投稿は2018.4.26.)

なるほど…
そんなものかもしれませんね?

史上初のエレクトリックヴァイオリンは1936年にジャズヴァイオリニストのスタッフ・スミスさんが自作して弾いたそうです。
それ以来、この世界にも他の楽器と同じく、本気で研究し、作り、演奏する人がいます。

今年(2018年)で82年。私はその中の21年間、身近にこの楽器の成長を見てきて、近年の進化には本当に驚かされています。
(Viper violinは1990年創業のWood violins社製)

はじめの頃のエレクトリックヴァイオリンのカーカー甲高い耳をつんざくような音から
ごく最近までの、抑揚の無い、鼻をつまんだようなブーブーした音まで
いずれにも満足できずに格闘し続けてきたことを思い出します。
それらはもう過去のもの。

改造ヴァイパーは美しく艶やかな音色を獲得し、今日も進化を続けています。
(参考○ヴァイパー○ヴァイパーの改造)

初めての方から、こんな演奏依頼をいただく時があります。

「あの~、今回はヴァイオリンでお願いしたいのですが…」

お返事の予想はつきますが、聞いてみます。

「それはもちろんできますが、ヴァイパーをお聴きになったことはありますか?」

「いえ、無いのですが、エレキですよね?
やっぱりヴァイオリンの綺麗な音色の方が良いと思いまして…」

そういう方にこそ知っていただきたいものです。

「わかりました。両方持っていきますので、リハでお聴きください♪」

リハーサルにて。
まずはヴァイオリンを弾くと…

「やっぱりヴァイオリンは素敵ですね~」

「美しい音ですね~!」

私もそう思います。
ヴァイオリンはとても素晴らしい楽器。

ヴァイオリンがこれだけ良いのならもう試さなくてもいいんじゃないの…?
という空気も漂う中、続けてヴァイパー…

弾き終わった時の皆さまの驚きの混じった笑顔がとても素敵です。

「エレキでこんなに綺麗な音が出るのですか!?」

「想像と全然違ってました!」

「こんな演奏は見たことがありません!」

「一人でこんな広がりが出せるのですね!?」

「ヴァイオリンももちろん良いけれど、ヴァイパーは想像の遥か上をいきますね!」

結果はいつも同じ。
使わないことを知りながら持ってきたヴァイオリンを眺めるのは、長年ヴァイオリンに魅せられてきた者としては少し寂しく、胸がチクチクしたりもしますが、手塩にかけたヴァイパーが高評価をいただくのはそれ以上に嬉しいことです。

何となく常識とされていた
「エレキで良い音が出るわけがない」
は、かつて万人が信じていた
「天動説」
と似たようなものだったのかもしれません。

日々たくさんの演奏に接している音響さんにはかなり以前から

「ヴァイパーはとても良い音がするね!」

「ヴァイオリンをマイクで拾ってもなかなかヴァイオリンらしい良い音にはならない。なぜ皆もっとこの楽器を使わないのだろう?」

と言われてきましたが、おかげさまで近頃では一般のお客様からも

「ヴァイオリンよりいいんじゃないの!?」

「心地よい音色」

「もっと広めたいね!」

といった声をいただくようになりました♪

○Vol.14 脱エフェクト
○ヴァイパー奏者の覚書 一覧