Vol.7 「ヴァイパーの改造」

Vol.6の続き

エレクトリックバイオリンで下手なことをすると
「やっぱりエレキはアカンな」
と、したり顔で言われる。

では、かっこよく弾くと何と言われるのか?

「エレキはズルい!」

おぉ、何て風当たりの強いことだろう!(笑)

もちろん、こういうことを言うのはエレクトリックを弾いたことが無い方々であり、一度でも本気でエレクトリックを弾いてみたことがある方なら決して言わない。
数百年間の英知の結晶である楽器の性能におんぶに抱っこに肩車までできるアコースティックの方が遥かにズルい(笑)ことを知っているからだろう。

エレクトリックギターとギターが違うように
エレクトリックヴァイオリンはヴァイオリンの代用品ではない。
他の楽器と同じく、本気で研究し、作り、演奏する人がいる。

エレクトリックヴァイオリンは楽器自体の性能がまだ低い分アコースティックよりも演奏が難しい。
その音にはアコースティックのようなまろやかさも伸びもない。
強弱もつきにくい。
なかなか歌ってくれない。
さらに、マイク(ピックアップ)が楽器に内蔵されているということは
楽器に耳をあてて聞いているようなものなので
アコースティックよりもむしろ繊細に丁寧に弾かないと雑な音になりやすい。

いろいろな場所で演奏させていただくようになり、「アコースティック」の音量では足りず
「アコースティックをマイクで拾う」
または
「エレクトリック」
の必要が出てきた。

ところで、ヴァイオリンをマイクで拾うとどんな音になるのだろう?
ボーカル用マイク、楽器用マイク、楽器に付けられるミニマイクといろいろ試してきた。

人の耳は聞きたい音だけを無意識に選んで聞いている。
ところがマイクは
楽器に手が当たる音から
奏者の鼻息
周囲の雑音などなど
あらゆる望まない音までも拾ってしまうのと
機材によってもかなり音が変わるので
アコースティック楽器の音をそのままに聴こえるように拾うのはかなり難しい。
というか、ほぼ不可能…。

つまり
アコースティックの音と
アコースティック楽器をマイクで拾った音は
全く別物だった。

エレクトリックは
弦や駒の振動を空気を介さずに拾うので外部からのノイズは少ない。
しかし楽器全体の鳴りを余すところなく拾うわけではないので細い音になりがち。

このように
アコースティック+マイクも
エレクトリックも
どちらも一長一短。

ということは、生音が美しいからといって
ヴァイオリンをマイクで拾うことが必ずしも良いことでもなく
純粋にスピーカーから出る音だけで考えるならば
ヴァイオリン+マイクよりも
「美しい音」あるいは「面白い音」のエレクトリックヴァイオリンを作れたとしてもおかしくないのじゃないか?

ヴァイオリンと同じ感覚で弾けること
マイクで拾ったヴァイオリンよりも美しい(面白い)音色
ヴァイオリンには無い低音域を出せること
会場の広さや響きに左右されない安定感
豊かな表現力

これらが私のヴァイパー改造の目標。
思いつくことを片っぱしから試した。

約20年分の試行錯誤を詰め込んで改造ヴァイパーは私の思い描く楽器にかなり近づいてくれたと思う。
きっとまだまだ良くなります♪