Vol.6「ヴァイパー≠琉球ヴァイオリン」

「ヴァイパーが琉球ヴァイオリンか?」
「これは沖縄の楽器か?」
「君が作った楽器か?」
とにかく多いヴァイパーについてのこれらの質問。

私は「琉球ヴァイオリン」という音楽を演奏するのに「ヴァイパー」という楽器を「改造して」使っている。

「琉球ヴァイオリン」と「ヴァイパー」には直接的な関係はない。

特に気をつけて話すようにしているけれど、新しい要素が多すぎてなかなか伝わらない。
よく知られた曲ももちろん弾くけれど、多くの方にとって私の演奏は
曲も未知のもの
楽器も未知のもの
演奏スタイルも未知のもの

人は未知のものに出会うと、何とか自分が知っているものに当てはめて安心しようとする。
危険かもしれないものに出会ったのなら、過去の経験と照らし合わせようと身構えることはとても大事なこと。

けれど、音楽で命に危険が及ぶようなことはたぶん無いので、そう慌てずにもっと未知との遭遇を楽しんでもらったらいかがでしょうね?

「琉球ヴァイオリン」は沖縄の民族ヴァイオリン音楽を表すジャンル名。
これについては次回書く予定。

「Viper (Wood Violins社製)」はアメリカのヘヴィメタルヴァイオリニストMark Woodさんが自分で演奏するために開発、商品化した楽器。

かれこれ25年くらい前だったか、WoodさんのCDを聴き、待ち望んでいた楽器が改良されて市場に出たのが、これ。
色や木目は好きなものを選べるので沖縄の深い海に似たものにした。

肝心の音色は望む音とはだいぶ違っていた。
それでもどうしてもこのボディを使いたかったので、意地と根気と年月をかけてかなりの改造を施した。

さて結果は?

改造前に「エレキはやっぱりあかんな~」と言っていた方たちまでもが、信じられないような顔で「エレキはズルいな~」と言うようになった。

お~♪大成功!\(^◇^)/

ま、素直に「いいね!」と言ってくれれば
きっとお互いにもっと楽しくなるよ♪

ズルいと言えば、エレクトリックよりも数百年間の英知の結晶である楽器の性能に、おんぶに抱っこに肩車までできるアコースティックの方が遥かにズルい。

エレクトリック楽器は楽器自体の性能が低い分、アコースティックよりもむしろ演奏が難しいのだけど
そのことは案外知られていない。

その音にはアコースティックのようなまろやかさも伸びもない。
強弱もつきにくい。
なかなか歌ってくれない。

さらに、マイクが楽器に内蔵されているということは、楽器に耳をあてて聞いているようなものなので、アコースティックよりもずっと繊細に丁寧に弾かないと雑な音になりやすい。

アコースティックから入った人がエレクトリックに手を出してもまたアコースティックに戻ることが多いのはたぶんそのためかな?

いろいろな場所で演奏させていただくようになり、「アコースティック」の他に
「アコースティックをマイクで拾う」
または
「エレクトリック」
の必要も増えた。

アコースティック楽器をマイクで拾うことも実は難しい。
人の耳は聞きたい音だけを無意識に選んで聞いている。
マイクは楽器に手が当たる音から、奏者の鼻息、周囲の雑音などなどあらゆる望まない音までも拾ってしまうのと、機材によってもかなり音が変わるので楽器の音をそのままに聴こえるように拾うのはかなり難しい。
というか、ほぼ不可能。

なのでアコースティックの音と、アコースティック楽器をマイクで拾った音は全く別物。

エレクトリックは、弦や駒の振動を空気を介さずに拾うので外部からのノイズは少ない。
しかし楽器全体の鳴りを余すところなく拾うわけではないので、細い音になりがち。

このように、アコースティック+マイクも、エレクトリックもどちらも一長一短。

ということは、生音が美しいからといってヴァイオリンをマイクで拾うことが必ずしも良いことでもなく、純粋にスピーカーから出る音だけで考えるならば、ヴァイオリン+マイクよりも「美しい音」あるいは「面白い音」のエレクトリックヴァイオリンを作れたとしてもおかしくないのじゃないか?

そんなことを考えはじめ、思いつくことを片っぱしから試していった。

そして「ループペダル」に出会い、エレクトリックならではの世界にどっぷりはまっていく。

約20年分の試行錯誤を詰め込んで、改造ヴァイパーは私の思い描く楽器にかなり近づいてくれたと思う。
きっとまだまだ良くなります♪